サステナビリティ
サステナブルな社会の実現に向けて
MICEの力で、持続可能な社会の実現に貢献
新型コロナウイルスの世界的な拡がりは、人と人との対面コミュニケーションを前提とするMICEの本質を揺るがし、そこから、オンラインイベントやハイブリッドイベント(現地とオンラインを融合)という開催形式が注目されるようになりました。言い換えれば新型コロナウイルスの拡大により、新たなMICEの形式が急速に拡大、浸透しました。その新たなMICEの形式は、二酸化炭素を多く排出する航空機による大規模な移動が少ない、会場がコンパクトになるため消費電力が少ないなど、世界共通の課題と認識されているサステナブルな社会への貢献にもつながります。
当社はMICEに関連する事業会社として、国連が採択した2つの枠組み「持続可能な開発のための2030アジェンダ」その目標である「持続可能な開発目標(SDGs)」と、気候変動問題に関する国際的な枠組みである「パリ協定」をはじめとした取り組みに共鳴し、サステナブルな社会の実現に向けた活動を推進します。
JCSは「社会課題の解決」に取り組み、イノベーションを創出しています
JCSは、コミュニケーションを通じて世界の人々の幸せをつくることを企業理念に、Create the Future Communicationを経営理念としており、時代の変化・社会のニーズに応えるべく事業を拡大してきました。
これらの理念の下、JCSはこれまで大きな会場で多くの人が集い、語り合うコンベンションの形式を事業の主軸としてきました。しかしコロナ禍の到来でその事業形式を大きく転換しました。社会のニーズに合わせ、どのような状況でも人と人がコミュニケーションをとることができる、オンライン開催やハイブリッド開催を主軸にしたのです。それにより、現地開催の意義・付加価値について再考するきっかけも作りました。
先行きの不透明さが高まるVUCA(※1)と言われる時代において、MICEは、社会課題の解決に向けて話し合う場、イノベーションを生み出す場として、さらに重要性が高まることが予想されます。JCSは、社会のニーズに応え、今後もコミュニケーションを核として、サステナビリティ(環境・社会・経済)の価値を追求し、共創・パートナーシップによる新たな価値創出・イノベーション創出に向けた挑戦を続けてまいります。
※1 VUCAは、ビジネス環境や市場、組織、個人などあらゆるものを取り巻く環境が変化し、将来の予測が困難になっている状況を意味する造語。4つの単語「Volatility:変動性」「Uncertainty:不確実性」「Complexity:複雑性」「Ambiguity:曖昧性」の頭文字から成る。
サステナビリティ活動の原点
現社長の近浪弘武が2008年4月に社長に就任後、同年7月にCSR/環境方針を策定しました(現 CSR/サステナビリティ方針)。その後、これまで蓄積してきたJCSのコンベンション運営の仕組みやノウハウをもとに、CSR/サステナビリティに関するマネジメントシステムを構築。2010年9月には、全社横断的なCSR/環境推進委員会(現 CSR/サステナビリティ推進委員会)を発足しました。事業面では同年10月に名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)を運営するなど、社内の仕組み作りと、事業での取り組みの両輪でサステナビリティ活動を推進してきました。
現在は、イベント・サステナビリティ認証「ISO20121」と環境経営システム「エコアクション21」を継続して運用。信頼性が高い2つの第三者認証に基づいたマネジメントと社内での一体的取り組み連携を進めています。
アジア初!ISO規格の前身となるサステナビリティ認証「BS8901」を取得
サステナブルな社会への貢献を目指し、イベントの開催においては、成果継承(レガシー)の視点が重要視されてきています。JCSは、2011年1月、サステナビリティの3側面(環境・社会・経済)を軸にロンドン五輪に向け開発されたイベントサステナビリティ・マネジメントシステムの英国規格「BS8901」を、アジアで初めて取得しました。
日本初!イベントのサステナビリティ認証「ISO20121」を取得
「BS8901」は、2012年のロンドン五輪を機に、会議・イベント運営におけるサステナビリティに関するマネジメントシステム要求事項を定めた国際規格「ISO20121」となりました。これを受け、JCSは2012年8月、日本初となる「ISO20121」を取得(※2)しました。
※2 認証登録範囲:JCSが提供するコンベンションに関連するイベント・マネジメント
ISO20121認証の仕組みを活用して会議・イベントを運営することにより、主催者様および会議・イベントそのものに以下のメリットをご提供し、会議・イベントの付加価値向上につなげることができます。
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「ISO20121」の特長とメリット
サステナビリティの3側面(環境・社会・経済)に資する会議運営を実現できる。
サプライヤー参画の仕組みを備え、サステナビリティをパートナーシップにより具現化できる。
社会的課題の解決に向け、成果継承の仕組みを持続的に活用できる。
ISO20121を運用したコンベンション等の累積件数(2023年3月31日時点)
209件
JCSは、コンベンション業界のリーディングカンパニーとして、サステナブル・コンベンション(※3)を掲げ「環境」「社会」「経済」の側面に配慮して、イベント価値の向上、サステナブルな社会への貢献に取り組み続けています。
※3 「サステナブル・コンベンション」は、日本コンベンションサービス(株)の登録商標です。
環境省が策定した環境経営システム「エコアクション21」
エコアクション21は、環境省策定のガイドラインに基づく環境経営の認証・登録制度です。「PDCAサイクル」と呼ばれるパフォーマンスを継続的に改善する手法を用いて、組織や事業者等が環境に配慮した活動に自主的に取り組む方法を定めています。
JCSは全社でオフィス内の環境負荷の低減や汚染の防止を目指し、資源・エネルギーの有効活用や3R(リデュース・リユース・リサイクル)を始めとする環境配慮の仕組みおよび社内啓発活動に、継続的に取り組んでいます。
電力・紙等における省資源の取り組み
社内の各部⾨から選出されたサステナビリティ推進委員会のメンバーが中心となり、事業所の特徴に合わせ、工夫をこらした啓発ポスターを掲⽰する等の活動を通じて、全社で環境に配慮する意識を高める活動に継続的に取り組んでいます。
電力・紙等の使用実績
実績の数値は、検針締日ベースで集計しました。電力のCO2排出量は、環境省2021年1月発表「電気事業者別排出係数」(調整後排出係数)を用いて算出しています。
事業とSDGs:環境・社会・経済の一体的な取り組み
事業とSDGs:提供ソリューション
えがおのはし(フードウェイスト対策)
会議・イベントで余ってしまうお弁当を「こども食堂」へお届け。食事を必要とされている方に召し上がっていただき、食品ロスも減らします。
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イベント・MICEの温室効果ガス、CO2排出量測定サービス
排出量の数値化、削減のご提案、レポート作成を行います。必要に応じてクレジットの取得までサポートします。
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組織とSDGs:ガバナンスの取り組み
JCSは、PCOとして初めて2008年7月にCSR/環境方針を策定しました。
現在は、下記のCSR/サステナビリティ方針の下、サステナビリティ活動を推進しています。
信頼性の高い第三者認証の取得
JCSは、信頼性の高い第三者認証を取得し、ガバナンスを強化しています。第三者認証とは、組織自身の判断ではなく第三者機関が審査を行って承認するものです。第三者認証のメリットは、利害関係のない第三者の外部機関による審査・承認を受けることによって、公正で客観的に判断されているとの認証が得られ、顧客や取引先など種々のステークホルダーからの信頼性向上が期待できるところにあります。
一方、世の中には様々な第三者認証があります。第三者が自身の基準で調査・分析するため、そのすべてが必ずしも汎用性の高い客観的な評価であるとは限りません。そこで、JCSでは信頼性・公益性の高い機関等の認証を取得しています。
「健康経営優良法人」(経済産業省・日本健康会議)
JCSは、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)」に、3年連続で認定されました。健康経営優良法人認定制度は、地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度です。
婦⼈科検診の追加、35歳以上の従業員は⼈間ドック受診など、法定以上の健診項目を受診できる環境を作り、社員の健康維持・促進に努めるとともに、下記のような取り組みにも⼒を⼊れています。
取り組みの一例
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社員総会
年に⼀度、全国の社員が⼀堂に会する場として、2008年から社員総会を開催しています。経営トップのメッセージを直接聞き、社員としての⾃覚とモチベーションの向上を図るイベントです。事業所・部⾨・上下間を超えた新しい仲間との出会いやナレッジの共有、コミュニケーションの活性化等、社員同⼠の交流を通じて、より健全な職場環境の整備に繋げています。
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家族参観日
社員の家族をオフィスに招き、⽇頃の仕事内容や職場の雰囲気への理解促進を目的にした「家族参観⽇」を、2015年から定期的に開催しています。このイベントは、家族が社員の仕事に対する理解を深める機会になるとともに、社員本⼈が改めてワークライフバランスを見直し、仕事へのモチベーションを⾼める機会にもなっています。
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テレワーク
JCSは、社員一人ひとりの状況に合わせたテレワークを推進しています。産前産後の体調や、育児・介護等の個⼈事情がある全社員を対象に、コロナ禍以前の2016年から、テレワーク制度を導入・運用してきました。これからも社員⼀⼈ひとりの働き⽅の選択肢を増やすことで、個⼈、さらには組織にとって、最適な働き⽅の実現を目指していきます。
「えるぼし」認定(厚生労働省)
JCSは、PCOとして初めて、女性活躍推進法に基づく「えるぼし」認定を取得しました。「えるぼし」は、女性活躍推進法に基づく行動計画の策定・届出を行った企業のうち、女性の活躍推進に関する取り組み状況などが優良な企業に対し、厚生労働大臣が認定するマークです。
JCSは、女性が活躍しやすい環境づくりを進め、全社員がその能力を最大限に発揮できる職場環境作りを推進しています。前述のテレワーク推進や下記のような施策の継続により、女性の産育休からの復職率は94%(2012年10月1日~2021年12月31日の期間、産育休者52名中49名が復職 ※現産育休者は母数から除く)となっています。
取り組みの一例
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JCSママカフェ
JCSは、育児休業中の社員と先輩社員が会社に集まり、育児の悩みやスムーズな職場復帰を⽀援するための情報交換会「JCSママカフェ」を、2016年から定期的に開催しています。日々の食事、保育園の入所など、仕事に復帰するにあたり不安に思っていることなどを先輩社員たちに直接相談し、実際の経験に基づいたアドバイスをもらうことができるので、職場復帰するにあたり、仕事・家事・育児を上⼿に⾏うための情報交換の場として、好評を得ています。
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キャリアデザイン講義
⼤妻⼥⼦⼤学のキャリアデザイン講義のゲストスピーカーとして、女性社員が毎年登壇しています。本講義は、学⽣の皆さんが、学⽣時代からキャリア教育や社会への理解を深め、将来歩む道の選択肢や視野を広げ、働くことの意義・就業経験について学ぶことを⽬的に開講されています。登壇する社員にとってもキャリアビジョンの気づき等を得る貴重な機会になっています。
Z世代若⼿社員チーム「Z-Wave」
事業活動を行う上で、「社員」は極めて重要なファクターとなります。JCSは、次世代を担うZ世代の若手社員の人材育成と、彼らを起点とする活動に積極的に取り組んでいきます。
2020年の新入社員は、社会人生活のスタートは在宅勤務という、これまでに無い形式で始めました。彼らはこの状況下で自らできることや、彼らが担う未来はどうあってほしいかを考え、サステナブルな社会が大切との意見が出たことから、まずはメンバー間でのSDGs関連の書籍の貸し借りや、オンラインチャットを活用した意見交換といった活動を開始しました。そして、7月には先輩社員を集めたSDGs討論会を開催。
これを機に社内のSDGs啓発推進は新入社員が主体的に実施するとのミッションが社内で共有され、9月にはチーム『Z-Wave』(※4)として発足、CSR/サステナビリティ推進委員会の中に編入されました。
Z-Waveの2代目メンバーが入社した2021年度、JCSは「Z世代の新入社員が社内でのSDGs啓発・浸透を主導する会社」として、Z世代の新入社員が主体となり、SDGsに関する全社的な啓発活動を定期的に行うとともに、事業を通じたSDGs活動も推進しています。
※4 Z-Waveは、2020年新入社員が自分たちでチーム名を検討し、協議のうえで命名。チーム名の由来:Z世代が主体となってウェーブを起こそう、という意欲から、「Z」と「Wave」を合成した。