2021.11.24
現場目線でDX支援、神戸市中小企業DXお助け隊事業を始動
神戸市は2021年6月、市内中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する「神戸市中小企業DXお助け隊」を立ち上げました。本事業は実務経験がある複数のアドバイザーによる伴走型支援を軸に、デジタル技術を活用して企業の経営課題解決や事業転換を支援するものです。JCSは本事業の全体統括・運営を担当し、神戸市とともに中小企業のDX推進を進めています。
背景・目的
2021年9月にデジタル庁が発足しました。これにより社会のDXはさらに加速し、今後企業を取り巻くビジネス環境も著しく変化すると考えられています。また、新型コロナウイルスの影響や労働人口減少もあいまって、業務効率・競争力低下を避けるべく、DX推進を喫緊の課題と捉えている会社も少なくありません。
しかし、「DXに興味はあるが、どのように進めたらいいのか分からない」「DXに関わる人材が不足している」「DXがうまく進まない」といった課題を持つ企業が多くあるのも事実です。
このような状況から脱却してビジネス変革を図りたい中小企業を対象に、神戸市は2021年6月から、「神戸市中小企業DXお助け隊事業」を開始しました。多種多様な神戸市の中小企業に対して、デジタル技術で経営課題の解決や事業転換、業務改革の支援を行っています。
事業の概要「3つの支援」を紹介
中小企業DXガイドライン
DX推進の参考となる中小企業の具体的な導入事例や業種別の取り組み、手法などを集め、様々な情報を掲載しています。なぜ今、DXが求められているのか。どのような利点や効果がもたらされるのか。DX導入を検討している、もしくはDXに取り組み始めたばかりの企業に参考にしていただける内容です。このガイドラインは神戸市DXお助け隊HP内にて公開しており、ダウンロードも可能です。
DXセミナー・研修会
最近DXに取り組み始めた、もしくはDX導入を検討している企業を対象に、専門家を交えたセミナーを開催します。知識習得の場として幅広いテーマを取り上げることで、変革に取り組む企業数を増やし、神戸市全体でDXに向けた機運醸成を図ることが目的です。
研修会では、DX導入をスムーズに進めるため、一方通行の座学ではなく、ワークショップや企業訪問など実践的な研修を行い、自社課題なども含めて議論する場を設けます。各企業で実際にDXに取り組む層を対象に、実務に役立つテーマを扱います。
すでに開催されたセミナーでは、DXに成功した企業の事例紹介や、セミナー後の個別相談会などを実施。9月のセミナーでは、参加者はオンライン視聴を含めて80名を超え、アンケートでは「DXの定義が確認できた」「具体的な事例があってわかりやすかった」「DX導入による効果測定の評価方法が参考になった」などの声がありました。
専門アドバイザーによるDX化伴走支援
さらなるDX推進のため、専門アドバイザーによる伴走支援を行います。「経営がわかる存在」としてさまざまな業種や業態に対応できるよう、アドバイザーには専門分野が異なる複数の実務経験者を起用しています。各企業の課題に合わせて「経営レベル」~「IT導入段階」まで複数の専門家がリレー形式で多面的に対応するのが特徴です。現場を知っている専門家が対応することで、経営者が主体的に考えて取り組むことができるようになります。
今後の展開について(主催者コメント)
経済観光局工業課では、主に神戸市の中小企業支援施策をおこなっています。その施策の一つに、本お助け隊事業があります。「DXに乗り遅れたら、生き残れないのではないか」。多くの中小企業の方からそのような危機感あふれる声を間近で聞き、この事業の実施を考えました。業種は問わず、より多くの中小企業を支援したい。それを実現するために、内容を簡素化したDXガイドラインも用意しています。DX導入を検討したい、意欲的に取り組みたい企業を私たちは歓迎しています。本事業の一番の肝は、専門アドバイザーによる伴走支援です。この取り組みは9月にはじまり、今後成果が出てくると思います。企業によって経営課題や悩みは異なります。企業ごとの特性を見極めて支援を続け、市内中小企業様の「この事業があって助かった」を目指します。
実績と経験から、DX推進に貢献する
JCSでは、東京都の中小ものづくり企業の円滑な医療機器産業参入を支援する「医工連携HUB機構」の事務局運営、「中小企業 新ものづくり・新サービス展」の運営を通じた中小企業マッチング支援など、これまで多くの中小企業支援をおこなってきました。そのなかで、多くの中小企業の方々と関わり、現場目線での支援体制の構築が不可欠と考えています。
このような実績と経験を踏まえ、JCSは今後も神戸市をはじめとする自治体とともに、全国の中小企業のDX推進に貢献してまいります。