2021.09.02
通訳の種類とは?「同時通訳」「逐次通訳」「ウィスパリング」 の違いや利用シーンを解説!
近年、多国籍の人々とコミュニケーションを取る機会が増え、コミュニケーションの橋渡しの役割を担う、通訳が必要になる場面も多くなりました。しかし「実際にどのような手法で通訳が行われるか分からない」「シーンに合った通訳手法が分からない」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、3つの通訳手法「同時通訳」「逐次通訳」「ウィスパリング」の違いや、それぞれの手法に適した活用場面について解説します。また、通訳者の仕事の種類と、それぞれの場面で必要になる知識もあわせてご紹介します。
通訳の依頼を検討している方にも役立つ「通訳費用を抑えて会議を成功に導くポイント」や、今後依頼先を見極めるヒントも解説しているので、参考にご覧ください。
目次
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これから会議通訳者として経験を積みたい方、より専門性を高め、閣僚級会議や医学会などトップレベルの通訳に挑戦したい方は、ぜひご登録ください。
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通訳手法の種類と利用シーン
まずは「同時通訳」「逐次通訳」「ウィスパリング」について、特徴と利用シーンを説明します。
同時通訳
「聞く」と「訳す」をほぼ同時に行う通訳手法です。
集中力が必要なことから、必要な業務時間にあわせ複数人数で担当し、およそ15分程度で交代しながら訳出します。通訳者は防音設備のあるブースの中に入り、イヤフォンを通して発言者の声を聞き、マイク機材を通して通訳します。聞き手はレシーバーなどで通訳音声を聞きます。適切な機材を使用することで、安定した通訳音声を届けることができます。
同時通訳の利用シーン
国際会議などの大規模な会議や、スピーディーに会議を進行させたい場合に使われます。最近はオンライン会議に適した同時通訳システムの種類が増え、レシーバーの代わりに自身のPCやスマートフォンを使って通訳音声を聞く形式が増えています。
逐次通訳
話者の発言の区切りごとに訳していく通訳手法です。
丁寧な通訳が可能なことから、同時通訳よりも正確に伝えることができるのが特徴です。また少人数の通訳者で対応でき、コストを抑えることができます。
話者の発言→通訳→話者の発言→通訳と、話者と通訳者が交互に話し、発言の2倍の時間がかかるため、テンポ良く進めたい会議には向きません。例えば1時間の会議時間だと、半分の時間は通訳に割かれるため、発言者の持ち時間は30分となります。
逐次通訳の利用シーン
一般的な商談、社内会議、研修、ワークショップ、海外専門家との意見交換会、インタビュー対応、工場見学等幅広く活用されます。精度の高い通訳方式のため、企業間の契約交渉など、内容を正確に訳す必要がある会議などでも用いられます。
ウィスパリング通訳
通訳を必要とする1-2名のそばで、ささやくように通訳を行う手法です。
簡易機材を使用して複数名の方へ向けて通訳することが可能です。同時通訳の範疇となり、長時間の業務は複数人で担当する場合があります。
ウィスパリング通訳の利用シーン
小人数の会議や、通訳を必要とする人が少ない場合によく用いられます。例えば、日本人9名と英語話者1名で会議をする場合、9 割が日本人の発言内容を理解出来るので、日本語→英語の通訳はウィスパリングの方が、効率良く進められます。英語話者の発言、つまり英語→日本語の通訳のみを、逐次通訳で対応することも可能です。
【通訳の仕事の種類別】適した通訳手法と必要なスキル
一口に通訳と言ってもさまざまな仕事の種類があり、必要なスキルや知識は異なります。ここでは数ある種類の中でも、代表的な例を紹介します。
会議通訳
多国間対話の国際会議や商談など、ビジネスの場で行う通訳を指します。通訳市場において最も高いシェアを占め、最も高い通訳技術が必要とされます。
以下、3種類の会議通訳を紹介します。
1. サミットやシンポジウム等の国際会議での通訳
大規模なカンファレンスでの通訳業務を指します。政治家や専門家が話す内容を通訳する場面が多く、語学力に加えて高度な専門知識が求められます。重要な国際会議では、会議通訳者の中でもトップクラスの通訳者が業務にあたります。
通訳手法は「同時通訳」が最も多いですが、訳した言語からさらに他言語へ訳す「リレー通訳」をする場合もあります。
※リレー通訳とは
使用言語が3言語以上の場合に使用される通訳手法。例えば日本語・英語・韓国語を使う会議で、【日本語―英語】対応の通訳者と【日本語―韓国語】対応の通訳者が業務に当たった場合、英語の発言はまず日本語に訳出し、その日本語を聞いて韓国語に訳出され「英語→日本語→韓国語」の順で通訳が行われます。
2. 会議や商談等のビジネス通訳
企業や政府・官庁、産学官等、大小問わず様々な分野での通訳業務を指します。例えば日本と海外の議員同士の交流会や、日系企業と外資系企業の合併時の契約締結、あるいは外資系企業が行う新製品の記者発表会等、様々な場面があります。語学力はもちろん、職種や業種に応じた専門知識(専門用語、組織構造、事業の仕組みなど)が必要とされます。
通訳手法は、会議内容や人数に応じて「同時通訳」「逐次通訳」「ウィスパリング通訳」を使用します。
3. ニュースなどの放送通訳
海外のニュースを日本語に訳したり、日本語のニュースを外国語に訳したりします。事前に内容を確認した上で映像にあわせて行う「時差通訳」と、生放送の映像にあわせて行う「同時通訳」の2種類があります。
前述した国際会議での通訳やビジネス通訳と異なる点は、通訳を聞く対象が一般の視聴者という点です。正確な情報を、視聴者に分かりやすいように訳す必要があるため、情報処理能力と簡潔に表現できるスキル、また時間内に訳出を収めるスキルも必要になります。
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司法通訳
外国人が関わる事件の捜査や取り調べ、裁判での通訳業務を指します。なかでも、裁判所で裁判官、検察官、弁護人、被告人や証人等の通訳をする人は「法廷通訳(人)」と呼ばれます。法廷通訳人は、裁判所が持つ通訳人候補者名簿から選任されるか、JCSのような通訳派遣会社を通じて手配されます。
裁判を起こした側と起こされた側のどちらにも偏らない、中立的な立場で訳す事が求められます。また、当然正確な通訳が求められ、特に判決に直接関わる法廷通訳の場合は、細部にまで徹底した正確性が求められます。そのため基本的に「逐次通訳」で行われます。
医療通訳
病院や調剤薬局などの医療現場で、外国人患者と医療関係者のコミュニケーションを取るための通訳です。患者の命が危険にさらされる可能性があるため、正確に症状を訳出する必要があります。そのため多くの場合「逐次通訳」が使われます。高い語学力はもちろんの事、医療の専門知識を備えることが不可欠です。また、重大な手術に立ち会う場面もあるため、大量の血や臓器をみても冷静に対応できることが求められます。
ガイド通訳
「通訳ガイド」や「通訳案内士」と呼ばれ、外国人を日本各地へ案内し、文化や伝統、生活習慣などについて外国語を使って紹介する通訳業務です。一般的な通訳と混同されがちですが「発言する内容を自分で考えなくてはならない」点が、他の通訳と性質が異なります。観光ガイドとしての役割も担うため、旅行会社と契約したり、フリーランスで直接仕事を受けたりします。
【通訳者グレードの種類】シーンに合ったレベル選定が成功のコツ
次に、通訳者のレベルについて説明します。
通訳者にはクラスがあり(JCS独自の基準値ではグレードと言います)、通訳者の実務経験、実績や対応可能分野、クオリティチェック、顧客からのフィードバック等によって設定されています。
通訳内容に合った正しいグレードを選定することで、料金を抑えた依頼が可能になります。
通訳者グレードと対応イベント内容
JCSでは大きく、下記表の通りグレードと対応内容を分けています。
通訳に対する期待値と、実際に対応する通訳者のマッチングに齟齬がないよう、通訳会社には詳細な依頼内容を伝える必要があります。イベントや会議の内容、分野、業務時間、開催形式はもちろんのこと、予算や性別、人柄などの細かい希望も遠慮なく伝えた方が、ミスマッチを防ぐことができます。
複数言語に堪能な社員が逐次通訳をしながら会議を進行するケースがありますが、通常業務に支障が出るリスクも抱えることから、交渉などの場面では、あえて第三者であるプロの通訳者を入れて、公平性を保つ事もよくあります。
グレード | S | A | B | C |
---|---|---|---|---|
対応できるイベント・会議内容 | グレードAの中でも、特に著名であり特定分野の実績が顕著である通訳者。限られた人数しかいない | 専門性(IT・医学・法律・金融・政治経済等)を伴う会議、セミナー等。同時通訳に対応できる | 要人アテンド、社内会議、レセプション通訳等 | イベント受付、送迎アテンド、展示会ブースでの案内等 |
実務経験年数 | 10年以上 高度な専門的知識が必要 |
1~5年程度 |
【通訳サービスの具体例】JCSの対応事例
JCS(日本コンベンションサービス)は1967年の創立以来、政府間交渉や経営者会議、シンポジウムなど、様々なイベントで通訳をコーディネートしてきました。およそ50年にわたって築き上げてきた実績と歴史を基に、最高水準のクオリティで通訳サービスを提供しています。
JCSの通訳サービスの実績
JCSでは国際会議からビジネスセミナーまで、幅広い分野で実績を重ねています。国際的な外交の舞台で培ったグローバルレベルの通訳品質を、さまざまな分野のお客様のニーズに合わせて提供しています。以下は代表的な実績の一例です。
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医学・製薬
1,000件/年
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IT情報分野
2,700件/年
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金融・IR
1,200件/年
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半導体
1,000件/年
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政治・経済
500件/年
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環境・エネルギー
800件/年
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スポーツ・エンターテイメント
300件/年
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その他
500件以上/年
JCSのオンライン通訳サービスは、ZoomやMicrosoft Teams、Cisco Webex等あらゆるWeb会議システムに対応しています。そのため、現在お使いのWeb会議システムをそのままご利用いただけます。
専門のエンジニアが機材やシステムをサポートするため、トラブル発生時にも迅速に対応できます。
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JCSのオンライン通訳
通訳の種類別に見るJCSの事例紹介
逐次通訳の事例|査察・監査
医薬品の品質保証において重要なポイントとなる、製造過程での製造所や医療機関の査察で通訳を行いました。査察官1名に対し2名の通訳者を手配し、複数日に渡って対応しました。
コロナ禍でリモートの監査や査察が増加し、地方や海外現地に住む通訳者も指名できるようになったことから、どのような通訳者を選ぶか、発注側の選択肢は増えてきています。
逐次通訳の事例|オンライン会議
海外の建築資材企業と日本のクライアントとのWeb会議で、逐次通訳に対応しました。開催時間は2時間程度で、外国人参加者2名、日本人参加者4名で行われました。
海外との時間調整のため早朝や深夜の開催になっても、通訳者の移動時間・コストがかからなくなったことで、依頼にかける手間が軽減できるようになりました。
同時通訳の事例|オンライン開催カンファレンス
オンライン開催の海外カンファレンスで、遠隔同時通訳サービスを提供しました。
従来の開催形式である現地開催ではなくオンライン開催になった事で、自宅から聴講が可能になり、日本からの参加者は10名程度から80名程度まで増加しました。多くの社員やパートナー企業が参加し、参加した方からは海外の最新情報をより効率的に吸収することができたと好評をいただきました。
通訳サービスはJCSへお任せください
JCSの通訳サービスは英語だけでなく、中国語、韓国語、ドイツ語、ロシア語、アジア各国の言語など、世界の公用語の99%以上をカバーしています。業界トップクラスとなる2,000名以上の通訳者が登録し、分野ごとに専門性の高い通訳者を手配することができます。
JCSのコーディネーターがお客様と通訳者の間に入り、お客様のご要望に柔軟に対応する高品質な通訳サービスを提供いたします。ぜひ、お気軽にお問合せください。
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Written by 髙橋 さゆり
日本コンベンションサービス株式会社
インターナショナルコミュニケーション事業部 会議通訳部