コラム

2021.10.13

正確に翻訳する方法が5分でわかる!機械翻訳の注意点と精度を高めるコツ


近年グローバル化が進み、世界中の人々に情報を発信するために、またコミュニケーションを図るために、あらゆるシーンで翻訳を必要とする機会が増えています。

気軽に利用できる無料翻訳サイトや自動翻訳アプリなどを活用している方は多くいらっしゃいますが、「訳文の意味が全く分からない」「惜しいけれど正確ではない」といった声を耳にすることもあります。プライベートな会話であれば、大体のニュアンスが伝われば問題ないでしょう。しかし、ビジネスシーンにおける翻訳では正確であることが大前提です。社外に発信する文書の場合、その文章で会社の印象が決まるため、正確性に欠け、原文と意味が異なる訳文になってしまうと、会社の信頼を損ねるリスクがあります。

この記事では、機械翻訳を使用する際の注意点や、機械翻訳の精度を上げるコツを紹介します。

3つの翻訳方法、それぞれの「正確性」の特徴や注意点

翻訳の方法は主に3つあります。それぞれの特徴について解説します。

無料の機械翻訳サイトを利用する

無料の機械翻訳サイトは数多くあり、代表的なものとしては「Google翻訳」や「DeepL翻訳」などがよく使われています。Google翻訳は100以上の言語、DeepLは26言語に対応しており、翻訳したい文章を入力するだけで、すぐに訳文ができあがります。

無料機械翻訳サイトの翻訳精度は年々上がっており、使い勝手もよいことから、翻訳方法としてよく利用されています。しかし、ビジネスで利用する場合は注意が必要です。
次項「機械翻訳を利用する際の注意点」で詳しく説明します。

有料の機械翻訳エンジンを利用する

近年、多くの企業が有料の機械翻訳エンジンを導入しています。
無料の機械翻訳との一番の違いはカスタマイズが可能な点です。有料のエンジンには、用語集の設定や、過去の翻訳データを蓄積してエンジンをカスタマイズする機能があるため、企業独自の用語や表現を使った翻訳が可能です。
無料の機械翻訳よりも正確性が高いといえますが、原文にない言葉を補うことまではできません。主語を省く傾向にある日本語の原文をそのまま翻訳すると、意味が通らない訳文になる場合があるので注意が必要です。

プロの翻訳者に依頼する

3つ目の方法は、プロの翻訳者による人力翻訳です。機械にはできない前後の文脈から文意を理解することができるため、読みやすい訳文に仕上がります。キャッチコピーやPR文言などの翻訳においては、作り手の意図や背景をくみ取りつつ、読み手に伝えたい内容を意識した翻訳ができるため、機械では実現できない訴求力のある訳文を作成できます。
翻訳会社を通して依頼をすると、翻訳者とは別に校正者が、訳文の文法、表現、表記のチェックを行うため、より正確で読みやすい訳文に仕上げることができます。

機械翻訳を利用する際の注意点

上記3つの翻訳方法のうち2つは「機械」による翻訳ですが、機械翻訳を利用する際にはいくつかの注意点があります。

無料の機械翻訳はセキュリティが保証されず、情報漏えいのリスクがある

無料の機械翻訳サイトはセキュリティの保証がありません。翻訳サイトによってはユーザーが入力した情報を収集し、翻訳の精度を上げるためのデータとして活用することがあります。したがって、社内の機密情報や社外秘の文章を無料機械翻訳サイトで翻訳する際は、セキュリティ保証がされていないため様々な影響が出る可能性がある点を認識し、利用することが大切です。

細かいニュアンスまで正確に表現できない

機械翻訳は、人間のような「文脈を読み取る力」に欠けます。メッセージ性が強く、細かなニュアンスの表現が必要となるキャッチコピーなどを機械翻訳にかけても、単純に単語ごとに翻訳されてしまい、本来伝えたい意味が正確に表現できないことがあります。

固有名詞や業界用語に対応していない

機械翻訳では人名・地名・製品名といった固有名詞の翻訳で、正式な名称(定訳)があるにも関わらず、まったく異なる訳に置き換わってしまうことがあります。また、業界によっては独自の用語や言い回しがあります。同じ単語でも業界によって異なる訳出をすることがあるので、機械翻訳では、訳出を必ず確認する、また事前に使用頻繁の高い文章や単語の訳を登録することで、誤訳で発生するスクを低減することができます。

例:「delivery」の業界別の訳出

業界 訳出
宅配業界 配達、…便、引渡し
医療業界 分娩・出産
スポーツ業界 投球

機械翻訳で正確性を高めるコツ

コストや納期の都合上どうしても機械翻訳を使用しなければならない場合もあります。どのように使用すれば効果的に、正確性を高めて翻訳できるのか、機械翻訳を利用するコツをご紹介します。

機械翻訳に適した文章形式を知る

機械翻訳は、型や言い回しが決まっている文章の翻訳に適しており、上手く利用すると低価格でスピーディーに翻訳することができます。特に、有料の機械翻訳エンジンは、社内用語や過去の翻訳データを登録しておけば翻訳に反映することができるので、文書の内容がよく似ている、また文書内で似たような文言が多く使われる契約書、マニュアル、特許書類などに適しています。

有料の機械翻訳エンジンであればセキュリティ面が保証され、安全性が担保されていることが多いため、機密文書の翻訳にも安心して利用することができます。

一方、キャッチコピー、商品案内、会報誌、社内報などメッセージ性が強く、読みやすさを重視する文章は機械翻訳に適していません。機械では細かい表現のニュアンスなどはくみ取れないため、直訳で不自然な文章になったり、意味の異なる訳文になったりします。文章に込められた思いや背景をくみ取る必要がある場合は、機械ではなく人力翻訳が適しています。

機械翻訳に入力する前の文章を修正する

正確な翻訳を行うためには、機械翻訳に原文を入力する前に「ひと工夫」が必要です。「機械翻訳後に修正すればいいのではないか?」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、機械翻訳の訳文が、原文のクオリティを上回ることはありません。したがって、元の文章を綺麗に整える必要があります。
主な修正のコツは以下の通りです。

  • 主語や代名詞を明確にする
  • 1文をできるだけ短く、簡潔にする
  • 意味が伝わりにくい慣用句やフレーズを避ける
  • 同義の単語表記を統一する

正確性の高い翻訳はJCSにお任せください

以上、機械翻訳を使用する際の注意点と精度の高め方を解説しました。
機械翻訳を適切に利用すれば、低価格でスピーディーに翻訳を行ことができます。ただし、文書のタイプによっては機械翻訳では正確に翻訳できないものもあり、人力翻訳の方が適している場合もあります。

JCS(日本コンベンションサービス)では、機械翻訳と人力翻訳の両方のサービスを提供しています。内容・コスト・希望納期などお客様のご要望にあわせてご提案いたします。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

Written by 中井 志津佳

日本コンベンションサービス株式会社
ビジネスソリューション事業部 翻訳・ドキュメントサービス部

※本稿に記載している情報は執筆時点のものです。
 

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