2021.11.18
遠隔同時通訳(RSI)とは?利用する前に押さえておきたいポイント
イベントや会議の開催が、オンラインや、現地とオンラインを融合したハイブリットなど様々な形式で可能となった昨今、オンラインを活用し通訳方法の選択肢も広がりました。その一つに、遠隔同時通訳システム(RSI)があります。
本記事では、ZoomやMicrosoft Teamsなどの Web会議システムを使って同時通訳を行う方法や注意点、そしてオンラインを利用したイベントや会議に最適なRSIの特徴や成功事例をご紹介します。
RSIとは?withコロナ時代に最適な通訳プラットフォーム
RSI(Remote Simultaneous Interpretation)とは遠隔同時通訳のことで、会議の参加者はインターネットを通じて、場所を問わず、あらゆる言語の同時通訳を利用することができるシステムです。
従来の現地開催とは異なり、通訳者や海外参加者の移動の必要がなく、また会場や同時通訳の機材を借りる必要もないため、大幅なコストカットに繋がると同時に、様々なイベントの通訳をオンラインで実現できるためコロナ禍で注目を集め、需要がより一層高まっています。
使い方はシンプルです。参加者は自身のスマートフォンやタブレット、パソコンに専用アプリをインストールし、イヤフォンを繋ぐだけで、簡単に安定した通訳音声を聞くことができます。一度のインストールで、何度でも繰り返し利用できるため、増加しているオンライン形式のイベントに最適なツールです。
これまでの「同時通訳(赤外線)」と「遠隔同時通訳システム(RSI)」を比較し、RSIの検討・導入に役立つ情報を解説した遠隔同時通訳システム(RSI)の仕組み・実践活用ガイドブックを、無償で配布しています。無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
Web会議システムだけで通訳はできる?
よく使われているWeb会議システムにはZoom、Microsoft Teams、Skype、Cisco WebEx、Google Meetなどがあります。同時通訳を行うためには、RSIシステムを使わずに、Web会議システムだけで通訳を行う方法があります。しかし、利用の際にはいくつかの注意点があります。
RSIシステムを使わずに同時通訳を行う場合は、Web会議システムの言語通訳機能を利用します。この言語通訳機能を備えているのはZoomのみです。以下、Zoomとそれ以外のWeb会議システムに分け、通訳の方法と注意点を詳しく解説していきます。
【Zoomの場合】言語通訳機能の制限や注意点
Web会議システムの中で唯一言語通訳機能が備わっているZoomで通訳を行う際、注意するポイントは以下の通りです。
注意するポイント
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通訳チャンネルを選択するとオリジナル音声はほぼ聞こえない
※オリジナル音声と通訳音声の音量調整ができないディスカッションなどスピードを伴う展開にレスポンスが追いつかない
参加者はヒアリング言語と発表言語を統一しなくてはならない
※「英語」の通訳音声を選択し聴講している際に日本語で発言してしまうと、英語チャンネルに日本語が流れてしまい、通訳者の訳出音声と重なってしまうブレイクアウトルームでは利用できない
※Zoom Meeting、Zoom Webinarのメインセッションのみ利用可能トラブル発生時のテクニカルサポートが無い
使用方法の公式トレーニング制度が無い
パートナー(別の通訳者)の姿や音声が確認出来ない
セキュリティ面や方針により導入出来ない企業がある
※2022年3月28日時点の情報
また、Zoomを利用できない国・地域があるため、海外の参加者がいる場合は、確認が必要です。Zoomの言語通訳機能の使い方は、こちらの記事で詳しく説明しています。
【Zoom以外の場合】通訳方法の違いによる準備項目や注意点
Microsoft Teams、Skype、Cisco WebEx、Google MeetなどのWeb会議システムで、RSIを使わずに通訳を行う場合、通訳方法により事前の準備や制限が異なります。それぞれの方法を以下でご紹介します。
特別な設定が不要な通訳方法
逐次通訳
逐次通訳とは、話者の発言の区切りごとに訳していく通訳方法です。
日頃利用しているWeb会議システムだけを使って、特別な設定をすることなく通訳を進めることができます。
準備、注意が必要な通訳方法
同時通訳
同時通訳とは、参加者の発言と並行して通訳者が同時に訳し始め、数秒の差で訳し終える通訳手法です。
Zoom以外のWeb会議システムで同時通訳を行うためには、会議参加者が発言するためのメイン回線と、通訳音声を聞き取るためのサブ回線の2回線が必要です。通訳を利用する参加者は、この2回線を準備しなければなりません。
この方法で同時通訳を行う場合、以下の状況が起きる可能性があります。
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通訳用の会議回線からは、自分の聞きたい言語以外の訳出も聞こえる
特に日常的に会議が多い場合、2回線を準備する運用が煩雑で「人為的ミス」が起こりやすい
通訳言語が複数の場合、言語の数だけ通訳回線が必要になる
リレー方式の通訳に非対応
このように、Web会議システムのみでの通訳は可能ですが、同時通訳では様々な制限があるため注意が必要です。
実際の失敗談から学ぶ!成功のノウハウ
Web会議システムを使った通訳で、実際に起きた失敗談と、その失敗を防ぐための「対応策」をご紹介します。
~事前準備編~
失敗談①Zoom言語通訳が設定されていない
Zoomの言語通訳機能を使って同時通訳を予定していたが、会議直前になって主催者(ホスト)側で言語通訳の設定がされていないことが発覚。再設定が間に合わず、当日は逐次通訳で対応し、会議時間が予定の2倍掛かってしまった。
【対応策】
会議の主催者は言語通訳の設定方法を確認し、設定ができているか事前確認が必要です。通訳会社に依頼している場合は、通訳エージェントと設定確認を行い、サポートしてもらうと安心です。また、会議主催者と通訳者の間でも、事前に接続確認をするとトラブルを防ぐことができます。
失敗談②電話回線で会議に参加。Zoomの言語通訳が使用できない
海外参加者が電話回線経由で参加したためZoomの言語通訳機能を使用できず、会議直前にパソコンからWeb会議に入り直してもらった。
【対応策】
電話でWeb会議に参加すると、言語通訳機能は利用できません。参加者には事前に参加環境を案内し、当日も参加者の環境を確認する必要があります。
~当日編~
失敗談③Zoom言語通訳の設定後、通訳音声が聞こえない
通訳の言語チャンネルをオフにしている参加者の音声が、通訳者に聞こえず、通訳ができなかった。
【対応策】
通訳の言語チャンネルは、日本語や英語など任意の言語を選択したうえで発言する仕組みになっています。必ず設定するよう、事前の案内が必要です。オフにした場合、参加者にはオリジナル音声(通訳者以外の参加者の音声のみ)が聞こえます。任意の言語を選択することで、通訳音声が聞こえるようになります。
失敗談④メイン回線とサブ回線を使い分けられず、通訳音声が聞こえない
Microsoft Teamsの2回線(会議参加者が発言するためのメイン回線と、通訳音声を聞き取るためのサブ回線)を使って同時通訳を行ったが、発言者が誤って通訳用のサブ回線で発言をしてしまった。これにより発言者と通訳者の音声が混在し、参加者は通訳音声が聞き取りにくくなり、通訳者は通訳業務に支障をきたした。
【対応策】
発言者には、事前に回線の使い分け方法を説明します。その際通訳用回線の端末には必ずイヤフォンを繋げて、通訳音声を聞いてもらうよう案内します。イヤフォンを使わないと端末から直接通訳の音声が流れるため、メイン回線は発言者の音声の裏で通訳音声も拾ってしまいます。
このように、Web会議システムだけを使って通訳することはできますが、事前設定や参加者への周知など、準備すべき点は多岐にわたります。Web会議システムを使った通訳が初めての場合や、失敗できない会議やイベントを担当する場合は、通訳会社に依頼するとサポートしてもらえるため、安心です。
RSIがオンライン通訳の最適手段!メリットや特徴【成功事例】
これまでZoomやそれ以外のWeb会議システムを使った通訳の注意点を説明しましたが、機能の制限や事前準備における懸念を払拭できるRSIを導入すると、従来の現地開催の会議やイベントと変わらない手間で、簡単に同時通訳を行うことができます。
また、従来の同時通訳レシーバー配布に代わり、参加者自身のデバイスを使用することで参加者、スタッフそれぞれの感染リスクを下げることができます。また会場でのレシーバー紛失等管理も気にする必要がありません。
JCSの「RSI X」はここが違う!
現在、JCSが独占販売契約を締結しているRSI EXCHANGE(通称RSI X)は、あらゆるWeb会議システムと連携でき、場所も言語の種類や数も選ばず、タイムラグなくスムーズな通訳対応を実現できます。
また、システム開発に現役の通訳者が関わっているため、性能だけでなく操作性にも優れており、快適な操作環境を通訳者に提供し、ミスを極小化、オンライン環境においても通訳の質を落とすことなく、会議を成功に導きます。
RSI Xの特徴
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軽さと音声品質を両立
通信の音声品質を認定する「ISO 20108:2017」を取得。他社RSIサービスと比較して1/5程度の「軽さ」を実現しました。多くのインターネット環境で安定した通訳音声を届けられます。
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コスト削減で汎用性が向上
通訳者の交通・宿泊費に伴うコスト削減を実現。さらに、高価な赤外線レシーバーに代わる「スマートフォン」を使用することで、通訳音声を好きな場所で自由に聞くことができます。
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高いセキュリティ性能を採用
機密情報を含んだ音声信号を守るため、最高基準のSSLを実装し、AES方式の256ビットキーを採用。アプリには二段階のログイン認証機能を設け、お客様の機密情報を堅牢に守ります。
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その他の特徴
- 聴講画面のロゴやタイトルのカスタマイズが可能
- Web会議システムの画面をリアルタイム表示
- 遠隔で24時間海外エンジニアサポート付き
- バックグラウンド再生が可能
- 通訳者目線の機能で操作ミスを低減
- ブラウザ利用可能
- リレー方式の通訳対応が可能
導入実績と利用者の声
RSI Xは国内のみならず世界で利用実績があり、リピート利用も数多くあります。
対応実績
主要実績 会議名称 | 利用者規模 | 言語 |
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Frankfurt Messe exhibition/メッセフランクフルト展示会 | 3000 | 英語、フランス語、ロシア語、ドイツ語(4言語) |
第29回日本心血管インターベンション治療学会:CVIT2020 | 1700 | 日本語、英語(2言語) *接続拠点数:9ヶ国 |
United Nations Office of Drugs and Crime (UNODC)summit 国連薬物犯罪事務所カンファレンス | 500 | 英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、中国語(5言語) |
Google Developer Conference | 500 | 英語、ロシア語(2言語) |
サンクトペテルブルク国際経済フォーラム | 300 | 日本語、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、ロシア語、 イタリア語、ポルトガル語、アラビア語、ベトナム語、中国語、韓国語(12言語) |
宇宙空間の安定利用の確保のための国際ワークショップ | 300 | 日本語、英語(2言語) |
ガストロノミーツーリズム 国際シンポジウ2020 | 200 | 日本語、英語(2言語) |
外資系CRO企業/PMDA本相談 | 20 | 日本語、英語(2言語) |
オードリー・タン大臣との特別対談/山口県庁 | 10 | 日本語、英語(2言語) |
ASCENSION 2020 | 10 | 日本語、英語(2言語) |
導入実績
以下、利用者の声を事例別に紹介します。
事例1. オンライン会議 ~CRO(医薬品開発業務受託機関)業界大手企業
TeamsとRSI Xを使ったオンライン会議。説明と質疑応答を行い、日本語と英語の同時通訳を行いました。国内外含め、約20名の参加者がリモートで参加し、通訳者もJCSの提携スタジオからリモートで参加しました。
利用者の声
RSI Xのアプリは使いやすかったです。初めてRSIを導入しましたが、PMDA(医薬品医療機器総合機構)側ともしっかりコミュニケーションが取れました。今後の利用も検討したいです。
事例2. ウェビナー ~大学機関
WebexとRSI Xを使って開催された国際セミナーで、講演、パネルディスカッション、質疑応答が行われました。使用言語は日中韓の3言語で、リレー形式の同時通訳を行いました。参加とスピーカーを含めて100名がリモートで参加し、主催メンバーは関西の会議室から参加、通訳者は都内の会議室からリモートで対応しました。
利用者の声
RSI Xの利用は初めてで、リレー通訳ができるかやや不安でしたが、アプリ利用のサポートや事前デモのサポートが手厚く、安心して利用できました。今後も機会があれば、お願いしたいです。
事例3. オンライン国際会議 ~行政機関
Zoomで行われた国際会議で、参加者とスピーカーあわせて100名程度がリモートで参加しました。使用言語は日英中韓の4言語で、RSI Xを使ってリレー形式の同時通訳を行いました。
通訳者は都内の会議室から参加し、主催メンバーの15名は、福岡市の会議室から参加しました。
利用者の声
アジア圏から参加する方がいらっしゃったため、インターネット環境や使用デバイスによる音声面での不安がありましたが、無事成功することができ、主催者からも好評でした。
RSIご利用の際はぜひJCSへお問い合わせください
JCSのRSI Xは、常にお客様の意見を取り入れ、機能追加のアップデートを繰り返しています。
またJCSでは、リモート通訳専用の通訳スタジオを完備し、用途に合わせてリーズナブルな同時通訳のご提案も可能な体制を整えています。通訳に関するご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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