コラム

2016.09.12

国際資格CMPのコラム第18弾「DESIGN ENVIRONMENT」


当社社員がお送りする、ミーティングプランナーの国際資格(CMP)をテーマにした「MICE Japan」の連載第18弾です。ミーティングやイベントを開催するにあたっては、その目的を達成するために最適な環境をデザインする必要があります。今回はそのルールや手順について取り上げ解説します。 

CMP(Certified Meeting Professional)は、約2万団体・10万名が属する世界最大のMICE産業団体Convention Industry Councilが認証する、ミーティングプランナーの国際資格です。

SKILL 17: DESIGN ENVIRONMENT
Sub skill 17.01 – Establish Functional Service Requirements
Sub skill 17.02 – Select Décor and Furnishings
Sub skill 17.03 – Coordinate Meeting or Event Signage

CMP出題頻度:3~ 5問(合計150問)


ミーティングやイベントを開催するにあたっては、その目的を達成するために最適な環境をデザインする必要があります。今回はそのルールや手順について解説します。

Sub skill 17.01 – Establish Functional Service Requirements

イベントの環境をデザインするにあたり最初に検討するべきことは、どのような機能が求められているのか(functionalrequirements)ということです。そのために重要な2大要素は参加者とイベントの目的です。参加者はイベントに何を求めているのか、どんな経験をするのか、それぞれの機能に応じてどんな行動をとるだろうか、ということを考えながらデザインを進めましょう。
講演会場のレイアウトにはさまざまなものがありますが、スピーカーと聴衆の関係性に応じて大きく3パターンに分けられます。

Presenter-focused set-up

スピーカーによる講演を、聴衆が受け身の姿勢で聞くというものです。この場合、聴衆の関心を保ち続けるため、スピーカーには高い講演スキルが求められます。

  • auditorium / theatre-style set up
  • semicircle seating
  • herringbone (V-shape or chevron)
  • standard schoolroom set-up

(2)Partially interactive set-up

スピーカーの講演をもとにして、聴衆どうしで議論を行う、ネットワーキング促進効果の高い形式です。

  • U-shape set-up
  • horseshoe set-up
  • crescent-round set-up
  • pod set-up
  • two-tiered set-up

(3)Highly interactive set-up

理事会や委員会など、全員での議論を行うための形式です。

  • boardroom (conference) set-up
  • oval shape conference set-up
  • hollow square set-up
  • octagonal set-up
  • angled hollow square set-up

陥りがちなミスとしては、先にレイアウトを決めてしまってから映像機材をあてはめようとすることです。映像機材にはそれぞれ必要なスペースがありますので、レイアウトと映像機材はかならず同時に検討してください。参加者がPCを使用するような場合も同様で、必要な数の電源の確保を考慮してレイアウトを決める必要があります。
また、施設にとっては座席数の確保が重要なため、やや小さなサイズの椅子を使用しているケースがときおり見られます。こうした場合は並んで座った時に不快感を与えないよう、椅子と椅子の間隔を空けてセッティングするといった工夫も必要です。
さらに同じ会場をレイアウト変更して使用する場合は、設営変更の手間を最小限にするためのクイック・セット(quickset)という考え方も重要です。たとえばシアター形式の講演会場を2分割して分科会を行う場合、最初から中央に通路を設けておく、といった工夫です。この場合も映像機材の配置を起点として検討するようにしましょう。

装飾の効用

Sub skill 17.02 – Select Décor and Furnishings

イベント会場を決める際には、その機能だけではなく内装の持つ雰囲気も重要です。環境はイベントの成果を左右するからです。ただしほとんどの場合、イベント施設の内装はごくシンプルなため、イベントの目的に応じて装飾を施す必要があります。
会場の「色」もイベントの効果に影響を与えます。白や灰色などの中間色よりも、赤やオレンジ、黄色などの暖色のほうが刺激が強いため、参加者のイベントに対する関与度合いを高めると言われています。また、青や緑といった寒色には気持ちを落ち着ける効果があります(BrainStrength Systems, 2011,pp. 15-16)。また、寒色には創造性を高めてイノベーションを引き起こす効果があるとも言われています。なお、中間色の部屋を使用する場合には、観葉植物やアート作品などの「色」を配置するとよいそうです。
また、装飾にはブランディングという重要な要素もあります。主催団体のロゴやテーマカラーを装飾に使用することで、ブランド価値やイベント経験価値を高め、連帯感を強めるといった効果が見込めます。

サイン・看板

Sub skill 17.03 – Coordinate Meeting or Event Signage

サイン・看板の最も重要な役割は誘導(wayfinding)です。よく考え抜かれた優れたサインプランを用意することによって、参加者のストレスや移動時間のロスを軽減することができます。
複数言語での看板もよく見られるようになってきました。ただし、言語数が増えるとフォントが小さくなり読みづらくなってしまいます。こうした場合に威力を発揮するのがinternational symbols for signage、いわゆるピクトグラムです。American Institute for Graphic Arts (AIGA)のウェブサイトから無料でダウンロードすることがきでます。(http://www.aiga.org/symbol-signs/)
廃棄物を減らすために、サイン・看板におけるサステナビリティ配慮も重要です。デジタルサイネージの活用、環境配慮型の素材を選択すること、再利用、学校(演劇部など)への寄付といった方法がありますので、ぜひ検討してみてください。

これまで見てきたように、イベント環境のデザイン手順は複雑でさまざまなケースがありえますが、おおまかにいえば下記のような流れになります。ぜひ、世界にひとつだけのイベントを作り上げてください。

  1. フロアプランの確認
  2. 映像・音響などの要素を追加
  3. ブランディング(主催団体・スポンサー)
  4. 必要に応じて装飾やその他の要素を追加
  5. 消防法など安全面の確認

13人目のCMP誕生!

Congrats New CMP!

この夏、日本で13人目のCMPが誕生しました。沖縄コンベンションビューローの森さやかさんです。ヨーロッパの大学院でホスピタリティ学を修め、英語が堪能で、美人だけれどもユニークな(ここ重要)森さん。沖縄ではじめてのCMPです。今後の活躍に期待しています!

 
  • 押さえておきましょう! CMP用語集(terminology)

    Dais ---------- 演台(ヘッドテーブルに設置)

    Lectern ---------- 演台(書見台のあるもの)

    Platform (Riser) ---------- 平台、箱馬

    Podium ---------- Platformの上に置く演者用の平台

    Meeting or Event Design ---------- イベントデザイン

    Decorations ---------- 装飾

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