2019.05.08
子どもが飽きない!おはなし会「プログラム」の作り方
近年、携帯ゲーム機やスマートフォンなどのデジタル機器の普及により、子どもの遊び方に多様化が見られ「本離れ」が進んでいます。そのなかで図書館や公民館で開催している「おはなし会」は、子どもたちに本の楽しさを知ってもらい、読みたい本を見つけてもらえる良い機会となっています。
しかし、幼児期からの読書習慣が十分でない子どもたちは、「読書離れ・活字離れ」の影響により、おはなし会に参加しても集中力を保つのが難しい場合があります。そこで今回は「子どもが飽きない!おはなし会」をテーマに、子どもの関心を引き出すための工夫や、自発的な本への興味を促せるポイント、プログラムの作成例などをご紹介します。
おはなし会が与える3つの効果
好奇心を刺激して高まる「想像力」
先が気になるストーリーの「起承転結」は、絵本ならではの挿絵と文章により、子どもたちに明確なイメージが伝わります。きれいな絵を見ることで感性は豊かになり、場面を想像する力も育まれます。これらを体験することで「もっと色々な絵本を読みたい!」という知的探究心が子どもたちに芽生え、自主的な読書の習慣が身に付きます。
文字の読み書きよりも伸びる「国語力」
元お茶の水女子大学の内田伸子教授が発表した研究報告「幼児期における読み書き能力の獲得過程とその環境要因の影響に関する国際比較研究」によると、早期に「文字の読み書き」を行なった場合、3~4歳児は家庭の経済格差、教育投資により差となって現れますが、5歳児になるとほぼ差がなくなりました。一方「絵本の読み聞かせ」は、幼い頃から継続することで、子どもの成長と共に“語彙力”の差が現れるようです。
読み聞かせの習慣化で身に付く「集中力」
テレビやYoutubeの動画と比べると「絵本のお話を聞く」のは集中力を必要としますので、絵本を好きになると、子どもは座って静かに話を聞くようになります。絵本の読み聞かせが習慣化すると、一つのことに集中する行動が日常になりますので、他の科目でも同様の変化が期待できます。
子どもを飽きさせない工夫
読み聞かせを始めると、途中で飽きて走り回る子や、本の内容に突っ込みを入れて騒ぎ出す子を見かけたことはありませんか?一つの部屋に子どもたちが集まる環境では、ひとりの子の集中力が切れてしまうと、他の子たちにも影響を与えてしまう恐れがあります。そうなる前に、飽きない「読み方」と「環境づくり」に工夫を凝らすのが大切です。
読み方のコツ
擬態語や場面転換するシーンは、声のトーンや抑揚を変えたりします。読み聞かせの間に「わらべうた」「手遊び」「手話」などを演出として取り入れるのも効果的です。(体験型)
環境づくり
雑音が聞こえにくい場所を選ぶことは、子どもたちの気を散らさない配慮の一つです。集中力に悪影響を与える玩具(おもちゃ)は持ち込まず、保護者同士のおしゃべりやスマートフォンの操作(SNSなどの利用)も控えてもらった方が良いでしょう。年齢別に「開催時間」や「本の内容」を分けることも大切です。
プログラム作りの参考例
実際のおはなし会で取り組んでいるプログラムをご紹介します。(全体で30分程度)
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STEP 1
開始前
- 子どもたちのお迎え
- おはなし会の開始をお声がけ
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STEP 2
導入
- 挨拶(様々な国の挨拶、男子だけで挨拶、女子だけで挨拶、全員で挨拶)
- わらべ歌や手遊び
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STEP 3
メイン
- 読み聞かせ(2冊~4冊、間に手遊びを挟む)
- 紙芝居(1冊)
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STEP 4
締めくくり
- 読み聞かせにお勧めの絵本を紹介
- 子どもたちのお見送り
おはなし会は、参加した子どもたちが喜びや楽しさを体感する場です。そのため、主催者はお迎えからお見送りまで、子どもたちとの挨拶やコミュニケーションも大切にしています。
特に「STEP 2」の導入の挨拶では、こども自身に声を発してもらい、自分が会に参加している意識を促しています。読み聞かせの最中でも「楽しい!」という気持ちを込めて話すことで、子どもたちと物語の面白さを共有しています。
「ろうそく」ではじまるおはなし会
集中力を高めるテクニックの1つで、騒いでいる子どもたちを静かにする手法として使われている物が、ろうそくです。おはなし会を始める前に「ろうそくに火がついたら、おしゃべりをしないこと!」を約束し、火を灯します。終了する際は「お願いごと」を想い描いて吹き消します。このように、お話の時間にメリハリをつけることで、子どもたちの集中力が途切れてしまうことを防止しています。
編集後記
今回は、子どもを飽きさせないおはなし会のプログラムを題材に、子どもに与える効果や工夫しているポイント等をご紹介しました。JCS(日本コンベンションサービス)は、東京都練馬区立南大泉図書館や東京都大田区立図書館などで「おはなし会」のオリジナル企画を多数実施しています。何かお困りな事がありましたら、いつでもご相談ください。
Written by 船木 なな
日本コンベンションサービス株式会社
ひと・まちづくり事業部 人材サービス部
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