コラム

2020.10.27

医療翻訳とは?翻訳者に必要なスキルや翻訳サービスの事例を紹介!


医学・製薬分野における文献や論文、資料等を翻訳する「医療翻訳」。高精度な翻訳能力や高い専門性が求められる翻訳分野であることは想像に難くありません。しかし、いざ医療翻訳を頼もうと思ったときに、そもそも医療翻訳者にはどんなスキルが必要とされるのか、どのような文献・論文が医療翻訳の対象となるのかなど、具体的に把握している方は少ないのではないでしょうか。
本記事では、医療翻訳の概要や翻訳サービスの内容について事例を交えて解説します。

医療(医学・製薬)翻訳とは?

医療翻訳とは、医学・製薬に関する文書を翻訳することを指します。医療翻訳が対象とする「医療」の範囲は幅広く、医療や医薬品のほか、医薬部外品、化粧品、サプリメント等が含まれる場合もあります。

医療翻訳の対象となる文献・論文

医療翻訳の対象となる文書には、主として医学論文や学会での発表原稿・資料などが挙げられます。一方、先に触れたように医療翻訳の範囲は幅広いため、一般に以下の文書も含まれることが多いです。

  • 新医薬品・医療関連製品の申請書類
  • 医学書・医学関係の記事
  • 治験に関するドキュメント
  • 医薬品・医薬部外品の販促資料
  • 医療機器の取扱説明書 など

医療翻訳の需要と将来性

医療翻訳は現在はもちろん、将来的にも需要が継続する翻訳分野だといえます。なぜなら、医療業界は他業界に比べて経済の影響を受けにくいため、常に安定した需要が見込まれるからです。

実際、医療機器産業は高齢化の進展や新興国の国際需要の拡大もあり、世界的に市場規模の拡大が続いています。また、世界の医薬品市場は2010年から2014年の間に1.2倍の規模に成長するなど大きな成長を見せており、現在成長は緩やかになってはいますが、一定のペースで成長し続けています。

医療分野の中でも特に需要が高いとされているのが、治験関連の翻訳です。医薬品開発のグローバル化が進んでいますが、新医薬品を製造・販売するためには日本語訳を付した書類が必要だと定められているのです。医薬品の開発段階ではあらゆる承認を得なければいけません。こういった背景からも、医療翻訳の需要は今後も継続すると考えてよいでしょう。

医療翻訳者になるための資格とは?

医療翻訳は、医学・製薬に関する論文や承認書類などの高度に専門的な領域の文書を扱います。そのため、医療翻訳者には国家資格等が必要だと思われる方もいるかもしれません。以下、医療翻訳者と資格の関係について説明します。

医療翻訳者に資格は必要ない

プロの医療翻訳者を名乗る上で、必須とされる資格はありません。

現在、翻訳関連の職業で国家資格が定められているのは「全国通訳案内士」のみです。また、通訳案内士の業務独占規制が廃止されたことで、通訳案内士でさえ資格なしで業務が行えるようになりました。

ただし、医療翻訳者として仕事を受注するためには、医療翻訳を多く請けている翻訳会社に登録するのがひとつの道です。翻訳会社も翻訳者のスキルを精査する必要があるため、登録にあたってはトライアルを課す会社がほとんどです。

私たち日本コンベンションサービス(JCS)でも医療翻訳者を採用する際には、トライアル翻訳を課した上で厳正な審査を行っています。トライアルを受けられる条件としても、フリーランス翻訳やインハウス翻訳の実務経験が3年以上あり、翻訳訓練を受けていることとしており、実績、スキルともに十分な方を医療翻訳者として採用しています。

医療翻訳能力を証明する資格

医療翻訳者として仕事をする上で必須となる資格はありません。しかし、医療翻訳能力を証明する資格を有している場合、企業の採用に有利に働く場合があります。医療翻訳能力を証明する資格として、代表的なものには以下が挙げられます。

医療翻訳に求められるスキル・能力

医療翻訳の対象となる医学・製薬業界は、高度に専門的な分野です。したがって、文書を翻訳する翻訳者にも高いスキルと能力が求められます。

正確に翻訳するための「英語力」

医療翻訳では、正確に翻訳するための高い「英語力」を持っていることは大前提です。最低でもTOEICスコアであれば850点程度、英検であれば準一級程度の英語力は必要とされています。
例えば医療論文の翻訳の場合、論文が学術誌に掲載されるには専門家による厳しい査読をパスする必要があります。査読には少なからず英文の質が影響するので、正確で読みやすい翻訳ができなければなりません。
また医療現場や医薬品に関わる文書の場合には、誤訳が人々の命に関わることにもなりかねません。実際、海外で販売する医薬品の安全性情報や、適正使用に関わる資料を翻訳する機会も少なくないので、正確な翻訳ができることは医療翻訳者の最低限のラインです。

文書テーマに合った「専門知識」

医学・製薬分野の翻訳は、他の分野に比べて専門性が高いといえます。したがって、高い英語力に加えて、翻訳する文書のテーマに対する深い専門知識も必要です。
例えば製薬関連の文書であれば、基本的な理系知識に加えて薬理学や生化学の知識が求められます。一方、医学分野であれば、人体や疾患、治療法などについての知識が必要です。また治験領域などでは、単純な知識に加えて治験の工程への理解も必須となります。
そのほか、医療機器に関する翻訳ではITに関する知識も必要とされます。医療翻訳はさまざまな分野の幅広い知識を学ぶ姿勢のある翻訳者でなければ務まりません。

既定ルールを守る「几帳面さ」

十分な英語力があり、専門知識が豊富であっても、医学・製薬業界の翻訳者が務まるわけではありません。医療翻訳者には、文書の規定ルールに従って翻訳する「几帳面さ」が求められます。
医薬品業界・医療機器業界は俗に「規制業界」と呼ばれるほど、製造から販売にいたる各過程で強い規制が敷かれています。そのため、翻訳者もその規制に則った文書を執筆する必要があり、書類の形式やガイドラインを守らなければいけません。
また、学術論文誌に投稿する論文の場合は、アカデミックな文体で書くことが求められます。学術誌によって投稿規定が異なるため、そういった点にも留意する繊細さが必要です。

【医療翻訳サービスの具体例】JCSの事例をもとに紹介

JCSは、コンベンション・大型国際会議等での翻訳経験を活かして、幅広い分野で高品質な翻訳サービスを提供しています。特に専門的な領域に強く、医学・製薬分野を含む専門分野での対応言語は40以上です。

JCSに在籍する医療翻訳者

JCSには、各分野に精通する翻訳者が在籍しています。特に、製薬・医学などの医療分野を筆頭に、広報・IRの領域においての実績・経験を有する翻訳者は顕著です。以下は、医療翻訳を専門とする翻訳者の一例です。

  • 翻訳者A 薬学博士号
  • 翻訳者B 米国MBA取得後、国内外での資製薬会社勤務経験
  • 翻訳者C 薬剤師。大学病院や医療機器メーカー勤務経験
  • 翻訳者D 化成系メーカーの薬理研究所勤務経験

JCSが対応した医療翻訳事例

JCSでは、これまでに数々の医療翻訳を担当させていただいております。

  • GMP/GDP

    FDA等による査察に向けた資料の事前翻訳や査察中の急な追加翻訳への対応(大手医薬メーカー様:3週間で130万字の英訳)

     

  • 治験資料

    医学博士や薬学博士、国内外製薬会社勤務経験等のバックグラウンドを持つ翻訳者/メディカルライターが対応(大手製薬メーカー様:半年で600万文字の英訳実績あり)。

     

  • セミナーレポート

    製品発表会での撮影・インタビュー・文字起こし・記事作成・翻訳・製本までワンストップで対応。

     

  • アドバイザリーボード

    音声データからの文字起こしや議事録作成。当日現場にスタッフを派遣しての議事録作成も可能。

上記のほか、以下の文書にも対応させて頂いた実績があります。

    • GMP・GDP文書
    • 治験薬概要書
    • 試験計画書報告書
    • 臨床/非臨床試験報告書
    • 承認申請資料
    • 投稿論文
    • 新薬発表会等の広報資料
    • アドバイザリーボード議事録作成
    • その他のドキュメント(要相談)

JCSでは、年間3,500件ほどのご依頼を引き受けております。また、専門性の高い翻訳者をコーディネートし高品質な翻訳を提供することで、85%以上のクライアント様にリピート依頼を頂いております。

医療翻訳ならJCSにお任せください

JCSは、コンベンション・大型国際会議の翻訳経験を活かし、医療分野においても高品質な翻訳サービスを提供しています。これまでの事業を通じて培った「コーディネート力」を活かして、お客様のご予算に応じた最適なアレンジが可能です。医療(医学・製薬)分野における数多くの翻訳経験と実績を持つ私たちに、ぜひ一度ご相談ください。

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