2022.03.30
Zoomを使って「同時通訳」を行う方法とは?注意点や事例も
ビジネスのグローバル化によって外国企業との取引が盛んに行われるようになり、会議で同時通訳が必要となる場面が増えました。また、Web会議がスタンダードになりつつある現在、リモート環境における同時通訳の需要が高まっていくことは想像に難くありません。
本記事では、Web会議システム「Zoom」で同時通訳を利用する際のノウハウや、Zoomの「言語通訳機能」の使い方について解説します。記事の後半では、実際にオンラインで同時通訳を使った事例もご紹介します。
目次
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Zoomを利用するための準備
近年、リモートワークの普及・定着にともなって数多くのWeb会議システムがリリースされていますが、よく使われているのが「Zoom」です。Zoomの主な機能は、以下のとおりです。
- ライセンスに応じて最大50,000名の参加者、一画面に最大49人の参加者を表示
- 複数の参加者が各自のスクリーンを共有、共同で注釈を入れることも可能
- バーチャル背景と外見補正機能によりミーティングに対応した外観を設定
- アンケート機能やチャット機能、質疑応答機能、バーチャル挙手、ブレイクアウトルームなどが利用可能
- トランスクリプト(文字起こし)が自動生成され、検索可能なメモとして残すことが可能
- チャット履歴の保存、表示、最大10年保存可能
- データの暗号化、パスワード保護、2要素認証、ドメイン参加、出席者の待機などによりミーティングの安全性を確保
Zoomで同時通訳を利用する場合、特別な機材や準備は必要ありません。Zoomの他に以下を準備しておきましょう。
-
- PC、スマートフォン
- イヤホン
- インターネット環境
- 通訳者
インターネット接続環境
Zoomを利用するには、通信回線が安定している、通信速度が速い等、インターネット接続環境が整っていることが前提となります。接続環境が整わないと、映像や音声が途切れてしまい、会議進行の妨げになったり参加者の満足度が低くなったりするおそれがあります。
お使いのインターネット回線の通信速度(通信帯域)は、通信速度測定サイトで調べることができます。ご利用の端末からサイトにアクセスし、通信速度を確認できます。
通信速度測定サイトの例
Speedtest.net Fast.com
Web会議システム「Zoom」で要求されるインターネットの通信帯域は、以下のとおりです。
Zoom
1対1のビデオ通話の場合 |
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---|---|
グループビデオ通話の場合 |
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画面共有(ビデオサムネイルなし)の場合 | 50~75kbps |
画面共有(ビデオサムネイル付き)の場合 | 50~150kbps |
オーディオVoiPの場合 | 60~80kbps |
Zoom Phoneの場合 | 60~100kbps |
ウェビナーの参加者に推奨される帯域幅
パネリストのビデオがオンの場合 |
|
---|---|
画面共有(ビデオサムネイルなし)の場合 | 50~75kbps(ダウン) |
画面共有(ビデオサムネイル付き)の場合 | 50~150kbps(ダウン) |
オーディオVoiPの場合 | 60~80kbps(ダウン) |
マイク・Webカメラ
基本的にはPCに内蔵されているマイク・カメラでも、音声・映像を拾うことはできます。プライベートなビデオ通話では、PC内蔵マイク・カメラの音質や画質でも問題にはなりません。しかし、ビジネスにおけるWeb会議では細かなニュアンスを伝えることが必要となるため、言葉だけではなく声色や顔の表情も大切です。特に言語の異なる相手とのコミュニケーションでは、声色や表情などの非言語情報がさらに重要となります。
アメリカの心理学者:アルバート・メラビアン氏が発表した「メラビアンの法則」に基づくコミュニケーションの研究結果によると、メッセージ全体に占める印象の割合は、言語内容が7%、音声・音質が38%、表情と仕草の割合が55%です。言語が異なっても人間の生物学的構造は変わらないため、表情や声色の伝える情報は普遍的であり、情報を伝える大事な要素であるといえます。
普段からコミュニケーションを取っている相手であれば、感情を汲み取ることは難しくありません。しかし、海外の取引先など面識のない相手と会議を行う場合は、音質・画質の向上のためにマイク・Webカメラを準備し、表情・声色を見聞きできるようにすると良いでしょう。
Zoomの「言語通訳機能」を使った同時通訳
Zoomには同時通訳の機能「言語通訳」があります。これはAIが行う自動通訳ではなく、通訳を担うのは通訳者です。主催者がZoom会議に通訳者を招待し、言語チャネルごとに通訳者を振り分けることで、参加者が任意の言語音声を切り替えて聞くことができる仕組みです。
ここでは「言語通訳」機能の事前準備や使い方、利用する際の注意点を解説していきます。
事前準備
Zoomの「言語通訳」を利用するためには、以下の前提条件があります。
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ビジネス、教育機関、エンタープライズのアカウント、あるいはプロのアカウント + ウェビナーアドオンのプラン
自動生成されたミーティングIDのあるミーティング
Zoomデスクトップ クライアント
・Windows: 5.2.1(44052.0816)以降
・macOS: 5.2.1(44040.0816)以降Zoomモバイルアプリ
・Android: 5.2.1(44042.0816)以降
・iOS: 5.2.1(44038.0816)以降
Zoomサポートに問い合わせて「言語通訳」機能を有効化すると、準備完了です。なお「言語通訳」はZoom Meeting とZoom Webinarの、どちらでも利用できます。
設定方法と使い方
機能が有効化されると、会議の設定時に「言語通訳」が選択できるようになります。
利用する際は「通訳者」と「通訳言語」を登録する必要があります。会議の設定時に事前登録するか、会議開始後に参加者の中から通訳者を登録することができます。事前登録をしておくと当日スムーズに会議が始められますが、事前登録時には「通訳者のメールアドレス」が必要になります。アドレスが分からない場合は、会議開始後に設定しましょう。
事前登録をした場合は、通訳者に「事前登録したメールアドレス」でログインしてもらうよう伝えておきましょう。
Zoom会議で通訳を聞く
参加者は、自分の聞きたい通訳言語を選択できます。なお発言者のオリジナル音声と通訳音声、それぞれミュートが可能です。
Zoom Meetingの場合は、参加者全員が自身でマイクのオン/オフができます。誤操作でのミュート解除に気を付けましょう。発言者の声が聞こえづらいと通訳に支障をきたすため、「発言時のみのマイクオン」を徹底し、またインターネット環境が安定した場所から参加すると良いでしょう。
注意するポイント
Zoomの「言語通訳機能」は通訳専用の機材を使わずに同時通訳ができる便利な機能ですが、以下の制限があるため注意が必要です。
-
通訳チャンネルを選択するとオリジナル音声はほぼ聞こえない
※オリジナル音声と通訳音声の音量調整ができないディスカッションなどスピードを伴う展開にレスポンスが追いつかない
参加者はヒアリング言語と発表言語を統一しなくてはならない
※「英語」の通訳音声を選択し聴講している際に日本語で発言してしまうと、英語チャンネルに日本語が流れてしまい、通訳者の訳出音声と重なってしまうブレイクアウトルームでは利用できない
※Zoom Meeting、Zoom Webinarのメインセッションのみ利用可能トラブル発生時のテクニカルサポートが無い
使用方法の公式トレーニング制度が無い
パートナー(別の通訳者)の姿や音声が確認出来ない
セキュリティ面や方針により導入出来ない企業がある
※2022年3月28日時点の情報
このように、Zoomの「言語通訳機能」は同時通訳システムとしては不十分であるといえます。安定した通訳を求める場合は、通訳専用の機材を利用し、ZoomはあくまでWeb会議システムとして利用するのが安心でしょう。
Web会議での同時通訳で「質」が大事な理由
外国企業との打ち合わせや、外国人社員が出席する社内会議では、日本語話者と他言語話者の間で齟齬が生まれないようにしなければいけません。そういったコミュニケーションの不成立を防ぎ、正確な意思疎通を可能にするのが「同時通訳」です。Web会議では、画面越しでコミュニケーションを行うことになるため、通訳者・同時通訳サービスの質が高いほど、円滑なコミュニケーションを実現できるようになります。
Web会議の通訳コストを最適化するために
一般的に通訳にかかるコストとして捉えられているのは、通訳者を雇ったり通訳システムを利用したりするための「直接言語コスト」です。しかし、通訳を利用する際「間接言語コスト」も意識しなければいけません。
間接言語コストとは、通訳によるコミュニケーションが不十分なために生じるコストを指します。通訳が十分に機能しない場合、両者の認識に齟齬が生まれたり、意思決定に遅れが生じたりします。
間接言語コストを抑えるためには「質の高い」通訳が必要です。能力や知識、態度などの通訳者の質に加えて、通信環境や通訳システムの性能、通訳者との事前の情報共有などの通訳サービス全体としての質も、正確なコミュニケーションを実現する上では欠かせません。
Web会議・同時通訳のサポート実績と成功事例
JCS(日本コンベンションサービス株式会社)のWeb会議・同時通訳サービスは、ZoomやMicrosoft Teams、Cisco Webex等あらゆるWeb会議システムに対応しています。Zoom等のWeb会議システムは、同時通訳に最適化されたプラットフォームではないためシステムトラブル発生時のサポートがありませんが、JCSはトラブルに迅速に対応いたします。
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JCSのオンライン通訳
JCSは1967年の創立以来、政府間交渉や経営者会議、シンポジウムなど、様々なイベントで通訳をコーディネートしてきました。およそ50年にわたって築き上げてきた実績と歴史に基づいて、最高水準のクオリティで通訳サービスを行っています。専門性の高い通訳者が多く在籍していますので、高度な分野をテーマとした会議やシンポジウム、ウェビナーにおいても正確な通訳を提供することができます。
JCSに在籍している通訳者の主要な専門分野は、以下のとおりです。
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IT情報分野
400名
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医学・製薬
120名
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金融・IR
180名
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政治・経済
180名
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法律・契約・特許
400名
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環境・エネルギー
60名
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半導体
60名
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自動車
60名
専門分野に特化した通訳者をコーディネートすることで、約90%のお客様から「とても良い」「良い」との回答をいただいています。
オンライン同時通訳の事例
オンラインセミナー(外資系コンサルティング企業)
Zoomを活用し、事前収録した講演の配信と、ライブ配信によるQ&Aセッションを行いました。参加者と講師はオンラインで参加し、通訳者はリモートで別のスタジオから参加しました。
利用者の声
Zoomの同時通訳システムに弊社が慣れていなかったため、システム面のデモンストレーションを行っていただいたり、リハーサルにもお付き合い頂いたり、本当に助かりました。弊社の細かいリクエストにも快くご対応いただき感謝です。通訳者、エンジニア、コーディネーターの皆さまに柔軟に対応頂いたので、活発なQAや動画への通訳対応など問題なくスムーズに行うことができました。
RD20国際会議(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)
オンライン会議システム「WebEx」を使用し、完全オンラインで実施した国際会議。日本からの登壇者はライブ配信会場から参加し、海外からの参加者はインターネットを経由して参加ました。通訳音声は配信と併せて遠隔同時通訳システム(RSI)も使用しました。
利用者の声
シンプルで使いやすい!通訳音声の配信も、エンジニアさんのフルサポートでトラブルなくスムーズに対応頂きました。
JCSのWeb会議・同時通訳サービスは、以下のようなシーンで活用いただけます。
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Web会議
Web会議システムと連携し、同時通訳をコーディネートします。Zoom以外のシステムにも対応可能です。
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講演会
外国人スピーカーを招いた講演会で利用できます。聴衆が100人を超えるような大規模なオンライン講演会でも問題ありません。
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ウェビナー(オンラインセミナー)
相互的なやりとりのあるウェビナーに対応しています。質疑応答にも対応可能です。
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パネルディスカッション
複数の話者が出席するパネルディスカッションで活用できます。複数言語の飛び交うシーンもお任せください。
上記以外のシーンにも対応可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
また、事前に収録した映像の、字幕翻訳・吹き替え翻訳も対応可能です。
オンライン通訳サービスならJCSへ
JCSの強みは、数多くのコンベンション・大型国際会議における同時通訳経験を活かした高品質なサービスです。経験豊富な専門性の高い通訳者をコーディネートするとともに、簡便で高機能な同時通訳システムを提供し、WEB会議での円滑なコミュニケーションを実現します。専門分野における数多くの同時通訳経験と実績を持つわたしたちに、ぜひ一度ご相談ください。
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遠隔同時通訳システム(RSI)の仕組みや活用方法のガイドを、無償で配布しています。これまでの「同時通訳(赤外線)」と「遠隔同時通訳システム(RSI)」を比較し、RSIの検討·導入に役立つ情報を解説しています。ぜひご活用ください。