2023.04.14
地域コミュニティの機能を補完!公園で促進する多世代交流
「多世代交流」とは、「子どもからお年寄りまで幅広い世代・年代の交流」のことです。
昨今、技術の進歩や感染症の流行をはじめとした交流の変化で、地域コミュニティ内の人々のリアルなふれあいが減少傾向にあります。地域コミュニティの代表格である自治会や町内会も、役員の不在や高齢化などの影響により活動が減少し、ご近所づきあい等、住民同士の親睦や地域内の防犯・防災に関する情報共有・活動なども縮小しています。これらの課題解決手段の一つとして、「多世代交流」が注目を集めています。
本記事ではその一例として、地域課題の解決に向けて事業者や市民を巻き込み、様々な取り組みを実現させている、東京都町田市の町田薬師池公園 四季彩の杜 西園(以下、西園)を紹介します。
地域コミュニティの醸成を実現する町田薬師池公園 四季彩の杜 西園
地域活動・つながり強化に取り組む町田市
西園のある東京都町田市は、自治会・町内会をはじめとした地域ネットワークの縮小や、地域への関心の希薄化などを課題の一つとして捉えています。同市では、上記への取り組みとして「町田市地域ホッとプラン」を策定し、多世代交流の促進を通じて、自分ゴトとして地域活動に参加できる人を増やすことや、時代の変化に対応した新しいつながりづくり、市民、地域活動団体、事業者、及び市など多様な主体による地域課題解決のためのプラットフォームづくり、災害時における命を守る地域づくりなどに取り組んでいます。
町田薬師池公園 四季彩の杜 西園 概要
開園 | 2020年4月17日 |
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所在地 | 東京都町田市 |
面積 | 約 9ha |
施設紹介 | ・地場野菜や名産品の直売所があるインフォメーション棟 ・本やフォトスポットがあるライブラリー棟 ・研修や教室、お誕生日会などで使用可能なラボ・体験工房 ・カフェ・レストラン、芝生広場、展望広場、果樹園、農園など |
西園は賑わい創出や体験価値の提供、エリア全体の回遊性の創出を通じ、地域への愛着や誇りが醸成されるような交流と観光の拠点を目指しています。今回は、「NEST Machida*¹」が指定管理者業務の一環として企画・推進する自主事業について、統括責任者の園田様とコンシェルジュ責任者の柴床様にお話を伺いました。
*¹NEST Machida とは、株式会社富士植木、日本コンベンションサービス株式会社、株式会社キープ・ウィルダイニングの 3 社による共同事業体です。
多世代が多く集う西園の仕組みとは
西園が取り組んでいるユニバーサルデザイン
多くの方にご来園いただくために、魅力的で何度でも来たくなる、誰が来ても楽しめる公園を目指し、ハード・ソフト両面で様々な施策に取り組んでいます。
【ハード面】
公園内のスロープの傾斜を4%に設計することで、杖をついた方・車椅子の方・ベビーカーを押している方・犬の散歩をしている方など、どなたでも過ごしやすい園内を実現。
【ソフト面】
来園者が安心して過ごし、つながりを創出できるような環境づくりのために、来園者の動きやヒアリングをもとにした、必要なルールを作り運用を行うなど、公園と市民が一体となり施策を推進。
自主事業で実現する何度でも来たくなる公園づくりの秘訣
西園は、地場の素材を活かしたメニュー構成のカフェ・レストラン、地場農畜産物を販売している直売所の営業や、3 か月ごとに内容が変わる体験プログラム「やくしの学び」・毎月開催の「やくしLOCALファーマーズマーケット」・季節の野菜収穫体験が楽しめる「ノウエンワークショップ」などのイベント開催等、様々な自主事業に取り組んでいます。
体験プログラム「やくしの学び」
中でも「やくしの学び」は、「敷居を低く、いつ来ても参加しやすく、質の高い学びを提供する」をコンセプトとし、2021 年には約 200 講座を開講。累計 2000 名以上が参加しました。
「やくしの学び」では、講師を招くこともありますが、市民の方が講師になることもあります。市民の方々の「やりたい!」という想いを大切に、一つ一つ丁寧に向き合って進めています。
秋の大型イベント「Park Fest 894 in 西園」
西園では「やくしの学び」以外にも様々な体験プログラムを実施しています。ここでは、公園の自主事業イベント「Park Fest 894 in 西園」(開催期間:2022 年 10月 29 日(土)~11 月 13 日(日))で開催されたプログラムの 1 つ、防災×キャンプの講演をご紹介します。
【事例紹介】2022 年 11 月 6 日(日)「いざという時に役立つ防災×キャンプ」
本イベントは、ふらりと訪れた方でも参加しやすいよう芝生広場のイベントスペースで開催されました。
イベント概要
開催日時 | 2022年11月6日(日) |
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対象者 | 西園の来園者(主にファミリー層) |
内容 | キャンプや登山などで使うアウトドアグッズやそれを使う知識は、災害時に活かせるということを、実演や経験談などを交えて紹介。 |
参加者数 | 約30名 |
【講師 長谷部雅一様とご参加された方の声】
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講師 長谷部雅一様:
・キャンプは道具を活用することで不便さを楽しく便利にするものです。その知識や経験は、災害時にも活用できます。最近ではご近所同士でのコミュニケーションが減少し、避難所での交流が難しいケースが見られます。メンタルヘルスにも繋がるため、日常的にあいさつ程度の交流機会があることが望ましいです。ご参加された方:
・防災リュックや備蓄品など用意はしていましたが、実際に使ったことがないものがほとんどです。いざという時に使えるように、家に帰ったら早速確認したいと思います。
・キャンプのノウハウは学校でなかなか学べないため、サバイバルについて楽しみながら学ぶことができました。キャンプの知識は無駄にならないと改めて実感したので友人にシェアしたいです。
このような西園の自主事業の取り組みをきっかけに、同じ地域で過ごしていても出会わなかった様々な世代の人がつながり、公園以外の場においても地域のつながりや活動の輪が広がっています。
西園での多世代交流の促進ポイント
来園者のニーズを把握するため、様々な場面でヒアリングを実施。結果に基づき利用ルールの整備・運用や、各種プログラムを実施することで、多世代交流の促進を実現します。
例)
■「ここでしか体験できない価値」を提供する、多世代参加型のイベント開催
■多世代が交流できるイベントを通じ、地域の新たなコミュニティづくりに貢献
JCSが伴走者として実現 多世代交流を生み出すまちづくり
当社は、町田薬師池公園 四季彩の杜 西園をはじめ、公園・会議施設を含めたエリアマネジメントや、ビジネスイベント×地域内交流創出にも取り組んでいます。
(関連実績)